ゴルフの慣性モーメントとは|ドライバー選びの重要な要素を理解しよう

基礎知識

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「慣性モーメントが高いドライバーは簡単」
「慣性モーメントは高いほど良い」

などと耳にしたことはありませんか。

「慣性モーメント」という言葉を知っていても、正確な意味を説明できる方はそう多くありません。

更に、慣性モーメントは高いほど良いとは一概に言えず、高すぎてもデメリットが生じる可能性もあります。

そこで当記事では、慣性モーメントの定義や高慣性モーメントのメリット・デメリットを解説しています。

慣性モーメントについて理解すれば、今後のドライバー選びの幅が広がるため、ぜひ参考にしてください。

慣性モーメント(MOI)とは?

慣性モーメント(MOI)を一言で説明すると「ヘッドの回転のしにくさを表す指数」です。

慣性モーメントが大きくなるほど、物体を回転させる力に対する抵抗力が大きくなります。つまり、慣性モーメントが大きなドライバーのヘッドを回転させるには、より大きな力が必要ということです。

しかし、一概に慣性モーメントと言っても「ヘッド左右慣性モーメント」と「ネック軸周りの慣性モーメント」に分けられます。以下ではそれぞれを解説します。

ヘッド左右慣性モーメント

現在のゴルフ市場で使用される「慣性モーメント」のほとんどは、この「ヘッド左右慣性モーメント」を指します。

ヘッド左右慣性モーメントとは「ヘッドの重心を軸として、ヘッドが左右にブレやすいか」が決まる慣性モーメントです。

例えば、インパクト時に芯を外し、トゥもしくはヒールが打点になったとします。

この際、インパクトしたフェース部分がボールに押されて、ヘッドがわずかに回転します(ヘッドの角度がズレます)。

その結果、ボールに余計な横回転が掛かり、打球が左右へ曲がってしまうのです。また、インパクトの力を最大限にボールに伝えられず、飛距離が落ちる原因ともなります。

しかし、ヘッド左右モーメントが高ければ、芯を外してインパクトしてもヘッドが回転しにくく(角度が変わりにくく)なります。その結果、曲がり幅は抑えられ、飛距離の減少も最低限となるのです。

ヘッド左右慣性モーメントを決定する要因には「ヘッドの大きさ」と「重心深度」があります。基本的にヘッドが大きければ大きいほど、重心深度が深いほど、慣性モーメントは大きくなります。

なお、ヘッドサイズは最大でも460ccと定められており、現在はこのサイズが主流です。

ヘッド左右慣性モーメントにはルール上の上限が定められている

ヘッド左右慣性モーメントにはルール上の上限が定められています。

それが「5,900g/㎠」です。

この値を超えた慣性モーメントを持つドライバーは規則違反となります。

しかし、ドライバーの設計者もこの規則は当然理解しているため、ルール適応クラブか否かを心配する必要はありません。

そのため、慣性モーメントの大きさを測る指数として、基本的に慣性モーメント5,900g/㎠を超すドライバーは無いと把握しておきましょう。

ネック軸周りの慣性モーメント

上記のヘッド左右慣性モーメントは、ヘッド単体に着目した慣性モーメントですが、シャフトとヘッドの関係から起こるネック軸周りの慣性モーメントもあります。

ネック軸周りの慣性モーメントを一言で表すと、ヘッドの操作性の良さです。通常スイングの際は、クラブヘッドの開閉が行われます。そしてヘッド開閉のしやすさが、ネック軸周りの慣性モーメントによって決まる仕組みです。

ネック軸周りの慣性モーメントが高いほど、ヘッドは回転しにくく、真っすぐな角度でインパクトをしやすくなります。つまり、直進性の高いボールを打ちやすくなるということです。

反対に、ネット軸周りの慣性モーメントが低ければ、ヘッドをコントロールしやすい、操作性の良さが現れます。「ヘッドターンで捕まったボールを打ちたい」などと考えている方は、ネック軸周りの慣性モーメントは高すぎない方が良いでしょう。

一般的に、ネック軸周りの慣性モーメントは、重心深度が深いほど、重心距離が長いほど高くなります。

慣性モーメントの高いドライバーのメリットとは

高慣性モーメントのドライバーの魅力は何と言っても「ミスへの強さ・直進性」です。

オフセンターでインパクトした際も、曲がり幅が少なく、飛距離ロスが最小限に抑えられます。そのため、ボールの操作性よりも、ミスへの強さや安定した直進性を求める方にピッタリです。

また、高慣性モーメントのドライバーは深重心のものが基本です。そのため、ボールが上がりやすいという特性も有しています。

高弾道のボールを打ちたいという理由で深重心のドライバーを選択し、結果的に高慣性モーメントでああるケースも多いです。

以下の記事では、初心者向けのおすすめドライバーを解説しています。高慣性モーメントドライバーも多数紹介しているため、ぜひご覧ください。

慣性モーメントが高いドライバーのデメリットとは

一方で、ドライバーに操作性を求める上級者の方は、高慣性モーメントのドライバーが向いていない可能性があります。

中にはあえて芯を外してボールをコントロールする技術を持っている方もいます。しかし、高慣性モーメントのドライバーは、オフセンターでのインパクトでもヘッドがブレにくいため、そのようなテクニックが使いにくいです。

更に、高慣性モーメントのドライバーは深重心であるため、ボールが上がりやすくスピン量も増えます。

そのため、ハードヒッターの上級者がスイングする場合、ボールが吹き上がる可能性があります。結果として飛距離ダウンとなる場合がある点にも注意が必要です。

パターやアイアンでも慣性モーメントは重要

慣性モーメントはドライバーの指数と考えている方も多いですが、アイアンやパターの性能にも大きく影響します。

特に近年は高慣性モーメントのパターに注目が集まっています芯を外した場合に方向性や距離感のブレを押えられ、フェースの開閉も最小限となることから、多くのプレーヤーが採用しています。

しかし、慣性モーメントの高いパターが一概に良いとは言えません。パターの慣性モーメントを大きくするためには、パターヘッドを大きくする必要があるためです。

パターヘッドが大きくなり重量も増えるため、パターの操作性が失われる可能性があります。そのため、振り幅で飛距離を調節するのではなく、手先の感覚を重視している方にとっては扱いにくい可能性があるのです。

つまり、クラブ選びで重要なことは「自分のスイングに合ったクラブか否か」です。どのようなクラブにもメリットとデメリットがあるため、まずはクラブの特性と、自分のスイングの傾向をよく知ることが大切です。

慣性モーメントはクラブ選びの大きな指数となる

上記で説明した通り、一概に「慣性モーメントが高ければ良いクラブ」ということはできません。重要な点は、慣性モーメントの特性を理解し、自身に合ったクラブ選びを行うことです。

ドライバー選びで慣性モーメントに着目する際は大まかの以下のイメージを持ちましょう。

ミスへの強さ・直進性を重視したい方高慣性モーメント
操作性を重視したい方通常の慣性モーメント

まとめ

慣性モーメント(MOI)を一言で表すと「クラブヘッドの回転のしにくさ」です。

また、慣性モーメントにも、ヘッド単体に現れる「ヘッド左右慣性モーメント」と、シャフトとヘッドの関係から起こる「ヘッド軸の周りの慣性モーメント」に分けられます。

それぞれの慣性モーメントは高いほど安定性・直進性に優れ、その一方で操作性が不十分となる傾向にあります。

当記事では慣性モーメントの概念や、高慣性モーメントクラブのメリット、デメリットを解説しました。

慣性モーメントの概念を知ることでクラブ選びの幅が広がるため、ぜひ参考にしてください。

この記事の著者
ゴルフシグナル編集部 渡邉

20代後半ゴルフ歴14年。学生時代は競技者としてプレーをしていました。皆さんのゴルフライフが少しでも充実する情報をお届けしたいです。

朝日新聞社・ベスティ・スカイAが運営する「golmicio(ゴルミーチョ)」のライターもしています。

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