本記事では、シャフトカットのメリット・デメリットや方法などを解説します。
シャフトカットによって、ミート率や安定性の向上、振りやすさの実現といったメリットを得られます。しかし、クラブバランスの変化やボールの低弾道化といった注意点があることも事実です。シャフトカットの特徴を適切に理解し、自分に合っているかどうかを判断しましょう。
シャフトカットはゴルフショップや工房に依頼する方法が主ですが、自分で行う方も存在します。自分でシャフトカットを行う方法を確認し、依頼すべきか否かも検討してみてはいかがでしょうか。
シャフトの長さが最適であれば、ショットの質が向上し、スコアアップにつながる要因となるため、ぜひご覧ください。
ゴルフのシャフトカットとは?
ゴルフの「シャフトカット」とは、ゴルフクラブのシャフトを切り、長さを調整することです。
ドライバーを例に挙げると、純正クラブは45.0~46.0インチ程度のモデルが中心です。そのため、純正よりも短いドライバーを使いたい方は、シャフトをカットして、自分好みの長さに調整する方法が有力です。
シャフトカットによって、ミート率や安定性の向上、振りやすさの実現といったさまざまなメリットを得られます。しかし、クラブバランスの変化や低弾道化といった注意点があり、一度カットしたシャフトは基本的に元に戻せないため、慎重な判断が求められます。
男子プロゴルファーは、純正より少し短めの44.5インチのドライバーを使っている方が多くいます!
シャフトカットを行う5つのメリット
シャフトカットを行う主なメリットは、以下の5つです。
- ミート率が向上する
- 安定性が向上する
- クラブが振りやすくなる可能性がある
- 低~中弾道なショットを打ちやすくなる
- 安心して振れるようになる
各メリットを詳しく解説します。
ミート率が向上する
シャフトカットを行うことで、ミート率の向上が期待できます。
- ミート率:ボール初速をヘッドスピードで割った値
より簡単にいえば「どれだけ効率的にヘッドの力をボールに伝えられているか」を表します。ミート率は高いほど良い値であり、同じヘッドスピードなら、基本的にミート率が高いほど飛距離は伸びます。ドライバーのミート率の目安は以下のとおりです。
- アマチュアゴルファー:1.3~1.4程度
- プロゴルファー:1.5前後
アマチュアゴルファーがミート率を高めるためには、ボールをクラブの芯で打つことが重要です。シャフトカットしてクラブが短くなれば、体とボールの距離が近くなり、スイングも安定しやすくなるので、芯でボールをとらえられる確率が向上します。
ショートアイアンは得意でロングアイアンが苦手な人が多い代表的な理由はこれですね!
シャフトカットしてミート率が向上すれば、ドライバーの平均飛距離アップの効果が期待できます。ヘッドスピードが低下する兼ね合い(後述)があるため断言はできませんが、なかなか芯でボールを打てない方にとって、有力な選択肢となるでしょう。
安定性が向上する
シャフトカットによって、ショットの安定性の向上や、左右への曲がり幅の減少が期待できます。主な理由は、大きく以下の4つです。
- 芯でボールを打ちやすくなる
- コンパクトにスイングでき、再現性が高まる
- シャフトのしなりの量が減少する
- クラブが短い分、フェースが開閉する量が少なくなる
安定性が向上し、左右への曲がり幅が減少すれば、ティーショットでOBや林に打ち込むリスクを軽減できます。少し長めのセカンドショットでも、安定してグリーンを狙えるかもしれません。
ただし、シャフトカットによってクラブバランスが変化(後述)し、スイングと合わなくなる恐れもあります。「シャフトのしなりが減ってつかまらなくなった」といった例もあるので要注意です。
クラブが短くなれば、振り遅れのスライスが減る効果も期待できます!
クラブが振りやすくなる可能性がある
シャフトカットによってクラブが短くなると、スイングしやすくなる可能性があります。主な理由は以下の3つです。
- クラブが数グラム軽くなる
- バランスが手元側に寄り、ヘッドが軽く感じられる
- スイングアークが小さくなり、コンパクトなスイングになる
クラブが振りやすくなれば、スムーズに体の動きをクラブに伝えられ、安定性の向上やキレイなフォロースルーを実現しやすくなります。
ただし、クラブのバランスが変化した結果、違和感が生じたといった例もあるので要注意です!
低~中弾道なショットを打ちやすくなる
シャフトカットによってクラブが短くなると、低~中弾道のショットを実現しやすくなります。シャフトが短くなるとしなりの量が減り、しなりが減ると打ち出し角の低下やスピン量の減少につながる傾向があるためです。
低~中弾道のショットを習得できれば、横風やアゲインストの影響を受けにくくなります。吹け上がりのミスも防止できるので、安定性の向上や飛距離アップにつながる可能性があるでしょう。
また「シャフトカットをしつつ高弾道のショットを打ちたい」と考える場合、ヘッドの重心を変える対策がおすすめです。ヘッドの重心はクラブのウェイト機能を活用したり、市販のなまりを貼ったりすることで調整できます。
なまりをソールの後部に貼ると、重心が深くなり、打ち出し角が高くなる傾向があります!
安心して振れるようになる
シャフトカットによって、安心してスイングできる要因になります。以下のような場合「ミスをするかも」という心理的な不安が生じる可能性があります。
- 長いクラブが苦手
- ドライバーが不安定
- 現在のクラブに振りにくさを感じる
シャフトカットによって「芯で打ちやすい」や「コンパクトに振れる」という安心感があると、自信を持ってスイングに臨めるようになるでしょう。
ゴルフは心理的な影響が非常に大きいスポーツです。シャフトカットによってスイングに自信を持てれば、ショットの質が向上する効果が期待できるでしょう。
筆者も「なんか曲がりそうだな…」と感じたら、クラブを短く持ったり、番手を下げたりして心に余裕を持たせています!
シャフトカットを行う4つのデメリット
一方で、シャフトカットには以下のデメリットがあります。
- ヘッドスピードが低下する可能性がある
- クラブのバランスが変わる
- ボールが上がりにくくなる
- 手間がかかる
各デメリットを詳しく解説します。
ヘッドスピードが低下する可能性がある
シャフトカットによってクラブが短くなると、ヘッドスピードが低下する恐れがあります。
一般的にクラブは長いほうが遠心力を活かすことができ、インパクトゾーンでヘッドが加速するためです。実際にシャフトが1インチ短くなると、ヘッドスピードは1m/s程度低下するというデータもあります。
長尺ドライバーの大きな魅力は「ヘッドスピードアップ」です!
ヘッドスピードが下がると、ボールを芯でとらえた際の最大飛距離が低下する可能性があります。最大飛距離を伸ばしたい方は、シャフトを長いまま使う選択肢も有力です。
ただし、シャフトカットによってクラブが短くなると、ミート率向上の効果が期待できます。結果として飛距離アップする例も多くあるため、まずはクラブを短く持つなどして飛距離の違いを体験してみることをおすすめします。
ドライバーのシャフトの長さについて詳しくはこちら!▼
効率的に飛ばせるドライバーのシャフトの長さとは|ルールや選び方、身長との関係性も紹介!
クラブのバランスが変わる
シャフトカットを行うと、クラブのバランスが変化します。
具体的には、クラブを1インチ短くするとバランスが手元側に寄り、5~6ポイントほど軽くなります。また、シャフトのしなりが減る分、若干硬く感じる傾向がある点も留意してください。
結果として、クラブバランスとスイングがマッチせず、振りにくさや違和感を覚える恐れがあります。
スイングとクラブバランスの相性が気になる場合は、クラブフィッティングを受けるのもおすすめです!
ボールが上がりにくくなる
シャフトカットを行うと、ボールが上がりにくくなる傾向があります。主な理由は、以下の2つです。
- シャフトのしなりが減少する
- ヘッドスピードが低下する
シャフトのしなりが減少すると、インパクト時にヘッドが上部に動く力が少なくなります。また、ヘッドスピードが低下すると、打ち上げるために必要な力をボールに伝えきれない可能性があります。
ボールが上がらずに悩んでいる場合、さらに低弾道なショットになる恐れがあるので要注意です。シャフトをカットしたうえでボールを上げるためには、ヘッドの重心位置を調整するといった対策が必要です。
手間がかかる
純正のクラブを使うのと比較して、シャフトカットには手間がかかります。
ショップや工房に依頼すれば自分で作業を行う必要はありませんが、実際に店舗に足を運ぶ必要があり、受け取りが数日後になることもあります。また、シャフトカットの工賃も必要です。
また、自分でシャフトカットを行う選択肢もありますが、慣れていない初心者の場合、時間がかかる可能性があります。初めての場合、工具をそろえる手間や費用も発生します。
手軽に短いドライバーを試したい場合、クラブを短く持つなどの対策がおすすめです。
シャフトカットor短く持つ どちらがいい?
シャフトカットと似た効果を得られる手段として「クラブを短く持つ」があります。厳密には、クラブの重さやシャフトの硬さなどに違いはありますが、簡単にシャフトカットと似た効果を体感できます。
「シャフトカットと短く持つのはどちらがいい?」と悩む方がいますが、まずは短く持ってスイングしてみることをおすすめします。シャフトカットには手間がかかり、一度切ってしまうと基本的には元に戻せません。万が一、短いクラブが自分に向いていないと、シャフトが丸々無駄になる恐れもあります。
クラブを短く持てば、短いクラブが自分に合わないと判断した段階で元の長さに戻せます。短いクラブが自分に合っているかどうか判断した段階で、シャフトをカットできるので失敗を防止できるでしょう。
ドライバーを短く持つメリット・デメリットはこちら!▼
ドライバーを短く持つメリット・デメリットとは?ティーショットが曲がらないコツはコレ!
シャフトカットの2つの方法
シャフトカットの方法は、大きく以下の2つです。
- ゴルフショップや工房に依頼
- 自分で切る
それぞれを詳しく解説します。
ゴルフショップや工房に依頼
ゴルフショップやゴルフ工房にシャフトカットを依頼する方法です。
専門性が高いスタッフにシャフトカットしてもらえるので、失敗のリスクを抑えられます。また、フィッティングを受けられる場合、最適なクラブ長さを相談しながらクラブをカスタマイズできるでしょう。
ただし、ゴルフショップや工房でのシャフトカットには工賃がかかり、受け取りまで数日かかることもある点に留意してください。
ゴルフショップや工房への依頼は、以下のような方におすすめです。
- 自分でシャフトカットするのが不安
- シャフトカットのやり方がわからない
- 専門性の高い方に依頼したい
- シャフトカットに関する相談もしたい
自分で切る
ゴルフショップや工房に依頼せず、自分でシャフトカットする選択肢もあります。シャフトカットの流れは以下のように比較的シンプルなので、個人でも十分に対応できる可能性があります。
- 1.グリップを外す
- 2.カットする長さを測定し目印をつける
- 3.シャフトをカットする
- 4.切り口にやすりをかける
- 5.グリップを装着する
自分でシャフトカットを行うメリットは、コストを抑えられ、ゴルフクラブに関する理解を深められる点です。シャフトカットを行う工具は購入が必要ですが、今後複数のクラブをシャフトカットする場合、工賃が大幅に削減できる可能性があります。
ただし、1回のシャフトカットのために工具を新調すると、かえってコストがかかる可能性があるので要注意です!
一方で、専門性の高いスタッフに相談できず、慣れていない場合は失敗するリスクもあります。一度カットしたシャフトは基本的に戻せないので、丸々無駄になってしまう恐れがあります。
シャフトカットを自分で行うのは、以下のような方におすすめです。
- コストを抑えてシャフトカットしたい
- ゴルフクラブの仕組みを学びたい
- クラブの長さなどの知識がある
シャフトカットに関するよくある質問
ここでは、シャフトカットに関するよくある質問に回答します。
- シャフトカットの代用方法はある?
- シャフトカットではどっちを切る?
シャフトカットの代用方法はある?
シャフトカットの代用方法として、最も有力なのは「クラブを短く握る」です。厳密にはクラブの重量やシャフトの硬さに若干の違いは生じますが、手軽にシャフトカットに近い効果を得られます。
また、以下の方法で短いクラブを手に入れる方法もあります。
- 短尺ドライバーを購入
- 中古ショップでシャフトカット済みのクラブを購入
- レディースモデルを購入
シャフトカットではどっちを切る?
シャフトカットは、基本的にグリップ側を切ります。グリップ側から切断すると、シャフトが過剰に硬くなるのを防止でき、性能の変化も最小限に抑えられます。また、ヘッド側を切断する場合、ヘッドとシャフトの接着が必要となるので、自分で行うには難易度が高い可能性があります。
ただ、シャフトを意図的に硬くしたい方などは、クラブの先端を切断する選択肢も有力です。
なお、シャフトを切断する方向に応じて、以下の呼び方をします。
- シャフトの根元(グリップ側)を切る:バットカット
- シャフトの先端(ヘッド側)を切る:チップカット
まとめ
本記事では、シャフトカットのメリット・デメリットや方法などを解説しました。
シャフトカットによって最適な長さのクラブを使えれば、ミート率や安定性の向上を実現できる可能性があります。しかし、ヘッドスピードの低下やスイングバランスの変化といった注意点もあるため、まずはクラブを短く握る対策から取り入れることをおすすめします。
また、シャフトカットは自分で行う選択肢もありますが、以下のような方はゴルフショップや工房に依頼するほうが無難です。
- 専門家に相談したい
- やり方がわからない
- 自分で行うのには不安がある
シャフトは一度切断すると基本的に元には戻せないため、シャフトカットすべきかを慎重に判断しましょう。
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